ある研究では、「ベジタリアン(菜食主義者)は寿命が長い」という研究結果が出ています。
ほとんどの人は、より長生きしたいと考えていますが、ベジタリアンになるだけで本当に長生きできるのでしょうか。肉を食べないことだけが、長寿の理由なのでしょうか。
本記事では、その研究結果の紹介と、肉を食べないことによって寿命が伸びているのではないと考えられる理由をみていきます。
ベジタリアンの寿命に関する研究結果
結果から言うと、ベジタリアンはそうでない人に比べて、寿命が長いことがわかっています。
カルフォルニア州ロマリンダ大学の研究チームは、6年間で70,000人以上もの男女を対象に追跡調査をしており、その結果からベジタリアンの死亡率が低いことを結論づけました。
研究の参加者を下の5つの食事グループに分類して、それぞれの傾向を調べました。
- 非ベジタリアン
- 半ベジタリアン
- ペスカタリアン(魚も食べるベジタリアン)
- ラクト・オボ・ベジタリアン(乳製品、卵も食べるベジタリアン)
- ビーガン(乳製品、卵も食べない)
調査の結果、この5つのグループからある傾向を発見しています。
ベジタリアングループ(ラクト・オボ・ベジタリアンとビーガン)の人たちは
- 年齢が高い
- 教育水準が高い
- 結婚する確率が高い
- 飲酒量が少ない
- 喫煙者が少ない
- 痩せている
などの傾向がありました。
死亡率に関しても、牛肉を含まない食事をしている人の方が、牛肉を食べる人に比べて12%も低いことがわかりました。
これは特に男性に強くみられた傾向で、循環器系の病気や虚血性心疾患などのによる死亡を大幅に減少させていると、研究者は述べています。
肉を食べないから長生きなのか?
この研究結果から分かるように、ベジタリアンが長生きなのは事実ですが、肉を食べないから長生きなのでしょうか?
必ずしもそうとは限りません。
ベジタリアンの傾向の中には、飲酒量が少ないことや、喫煙者が少ないなど、寿命が長くなる要因がいくつか含まれています。結婚して良い夫婦関係が、人を長生きさせるという研究結果もあります。
食生活以外の全ての条件が一緒であれば、肉を食べることによって、寿命が短くなることもわかるのですが、他の要因が多くあるため、ハッキリとした因果関係はわからないのです。
ベジタリアンの人は健康意識が高いので、寿命が延びている可能性はかなり高いと思われます。
おそらく研究者もこのことは、しっかりとわかっているはずですが、肉を食べないことだけが長生きに関係していると、取り上げられていることもあるので注意が必要です。
また、肉を食べないから喫煙や飲酒をしなくなるのか、それとも喫煙や飲酒をしない性格の人がベジタリアンになりやすいのかも、この研究だけではわかりません。
ひとりの経験だけではわからない
ベジタリアンの寿命が長いことは、統計から分かる事実ではあります。
しかし、たまに見かける記事で、ベジタリアンやビーガンになって、体調が悪くなったり病気になったと書かれているものがありますが、大抵これは一人や少数の経験を書いているだけで、統計ではありません。
サンプル数1ではハッキリとわかるはずもないので、これをそのまま信じるのには信頼性に欠けます。他の要因によって、引き起こされている可能性もあります。
しっかりと自分の頭で考えて、科学を考察するのが重要なのではないでしょうか。
それでは。