スロットがやめられない本当の理由【依存ビジネスの裏側を暴露】

スロットマシン

スロットをやめたくてもやめられない方へ。

ギャンブルの中でもかなりの依存性を誇るスロットマシンについて、なぜハマってしまうのかを解説していきます。

理由を知ることで、ハマってしまっている自分を冷静に客観視できるようになります。

科学的な実験結果を交えながら解説していきます。

目次

スロットマシン製作側の意図

まず前提として、スロットマシンを製作する側は、客により多くお金を注ぎ込ませる、より長い時間プレイさせるように試行錯誤しながら設計しています。依存ビジネスですね。

スロットマシンを導入する側のお店も、そのマシンの「タイム・オン・デバイス(TOD)」という、指標をもとにマシンが優秀かどうかを判断して導入します。

「タイム・オン・デバイス(TOD)」とは、お客がそのマシンの前に座っている時間のことで、平均時間が長ければ長いほど、そのマシンは優秀だということになります。

それでは人々がスロットマシンにハマる理由を見ていきましょう。

予測不能なフィードバックに夢中になる

人間も動物も確実なフィードバックよりも、予測不能なフィードバックに夢中になることがわかっています。

フィードバックとは、自分がした行動に対してのマシンからの反応のことです。スロットマシンでいう当たりや当たり予告、BARなどの演出や報酬にあたります。

スロットマシンからの予測不能なフィードバックにより、人はスロットに夢中になってしまうのです。

ハトによる実験

1971年、マイケル・ゼイラーという心理学者が、腹を空かせたハト3羽を対象に実験を行っています。

ハトは人間よりはずっと辛抱強いですが、複雑な生き物ではありません。

ハトへの餌の与え方で、2つのパターンを試しています。

  1. ハトがボタンをつつくたびに必ず餌が出てくるパターン
  2. ボタンをつついても時々しか餌が出てこないパターン

2つ目のパターンはハトが必死につついても、ボタンのライトが赤く光るだけで何も出てこない時があり、ハトはガッカリするだけとなります。

普通であれば、一定して餌が出てくる方がハトは喜び、ボタンを押しても餌が出るかどうか予測がつかないとしたら、ハトはボタンをつつく意欲を失うのでは?と考えてしまいます。

しかし、結果は逆でした。

餌がでる確率を100%ではなく50%〜70%にした方が、ハトはまるで小さなギャンブラーのように、ボタンを猛烈につつきまくったのです。(ただし確率を10%にすると、つつかなくなる)

必ず出るぼうに比べて、ランダムに出る、つまり報酬が確約されないほうが、ボタンをつつく回数は2倍も多くなったのです。

さらに、ハトの脳内で分泌されるドーパミンの量もランダムのほうが、はるかに多いことがわかりました。

考察

研究者のゼイラーは「手ごたえは頻度が低いほうが価値がある」と言っています。

人間がスロットに依存してしまうのも、この「不確実性」が要因のひとつだと考えられます。

もちろん100%報酬が出てくるスロットなんて作れませんから、予測不能なフィードバックになってしまうのは仕方ないのかもしれませんが、そのせいで脳内のドーパミン分泌量が多くなってしまっているのは確かです。

帰らせてくれない「幸運大使」

ずっとハズレが続けば、いくら血眼になった生粋のギャンブラーでも見切りをつけて帰ってしまします。

そこで、それを食い止めるのが「幸運大使」という存在です。スロットでいう「BAR」にあたります。

お店としては、できるだけ長くスロットの前に座っていて欲しいと考えています。
この「幸運大使」は元々カジノの戦略として使われていました。

カジノでの「幸運大使」

カジノでは客の意欲が途切れそうになっているタイミング(もう帰ろうかな、と考えている瞬間)を察知すると、スタッフがその客のもとに行き、「ボーナス」を渡すのです。

この「ボーナス」とは、食事無料券であったり、ドリンクの無料券、現金やギャンブルクレジットの場合もあります。

こうして改めて背中を押された客は、ギャンブルを再開することになります。

そこからまたハズレが続いて嫌気がさすまで、お金をつぎ込み続けるのです。

とはいえ、客があきらめかける瞬間を察知する分析専門家を何人も置き、数十人の幸運大使をフロアに配置しておくのは、かなりコストがかかります。

そこでコストをかけずに、同じ役割を果たすのが「BAR」です。(BARとはレギュラーボーナスのことで、BIGボーナスに比べて報酬はかなり少ない)

BARがスロットから客を離さない

スロットをしたことがある人はこの経験が必ずあるかと思います。

そろそろ帰ろうと思っていた矢先にBARが揃ったりしますよね。

BARがそろっても、それを換金して即座に帰る人は滅多にいません。こうしてBARという幸運大使に背中を押され、人はスロットから離れられなくなるのです。

ギャンブラーラットが教えるフィードバックの恐ろしさ

スロットマシンはBIGボーナスやBARが揃うと、賑やかなサウンドが鳴り、画面や盤面が明るく光り、コインが吐き出されます。画面内のキャラクターから祝福されることもあるでしょう。

このような視覚や聴覚を刺激する要素のことを依存戦略の世界では「ジュース」と呼びます。

この「ジュース」はスロットにおいて、客の心を掴むのにかなり効果的です。

理由は脳の原始的な部分を刺激するからです。そのことにより、ドーパミンを大量に分泌させ快感をもたらします。

ラットによる実験

ブリティッシュコロンビア大学の心理学者マイケル・バラスとキャサリン・ウィンスタンレーが実験を行なっています。

実験内容

檻のなかに小さなボタンが4つあり、鼻先で押すと甘い餌が出てくる。ボタンの一部にはローリスク・ローリターンで、たとえば10回のうち9回は当たりで餌が出てくるが、1回はハズレになる。その場合は5秒ほどボタンが押せなくなり、ラットは待たなければならない。(ラットは忍耐力がないので5秒でも拷問となる)
別のボタンはハイリスク・ハイリターンの設定で、餌の量は4倍だが、出てくる確率は40%。残りの60%の確率で、40秒のタイムアウトになる。(ラットにとっては永遠とも思える時間)

結果

結果、基本的にはラットはリスクを避ける傾向があり、ローリスク・ローリターンの方を好みます。

しかし、このラットカジノに、当たりを祝う音と光の点滅(つまりジュース)を加えたところ、ラットの反応は一変しました。

ラットたちはたちまちハイリスク追求型になり、多い餌と祝福のファンファーレをひたすら求めるようになったのです。

考察

スロットの「ジュース」が人間のギャンブラーに効果的なのと同じで、ラットたちはジュースの目くらましに心を奪われてしまいました。

実験を行なった本人も「刺激的な合図を加えれば、ある程度の反応があるのは予想していた。しかし、これほどまでにラットの意思決定を左右する効果があるのはかなり驚きだ」と語っています。

スロットで当たった時に何のジュースもなく、静かにボーナスが終わる仕様だったとしたら、そこまで客がのめり込むことも少ないのかもしれません。よくスロットを打つ人たちは「脳汁が出る」と言ったりしますよね。

また当たりでなくても、チェリーやベルが揃った時の、即座に返ってくるフィードバック(ちょっとしたジュース)も少なからず人間の報酬となっています。

まとめ

スロットには人々がハマってしまう様々な仕掛けが用意されていることが分かりました。

しかしスロットにハマる理由として、今回紹介したことが全てではありません。

今回はスロットマシン自体が、人をのめり込ませる仕組みについて紹介しましたが、本人の精神状態、店の雰囲気や匂いなど様々な要因によってハマる可能性はあります。

今度スロットを打ちに行くときは、この記事の内容を思い出しながら打ってみてください。

きっと少し冷静なあなたがいると思います。もしくはスロットマシンの戦略に腹を立てるか、関心するかもしれませんね。

スロットがやめられない人はまず自分を責めず、俯瞰して自分のことを見てみると冷静になってスロットへの執着が冷めていくかもしれませんね。

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